現代は将来の予測が困難な時代であり、その特徴である変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字をとって「VUCA」の時代とも言われている。新しい技術や産業、環境問題、自然災害、国際情勢の不安定化などは、正に予測困難な時代を象徴しており、一人一人が豊かで幸せな人生と社会の持続的な発展を実現するために、教育の果たす役割はますます大きくなっている。
このような中、学習指導要領では、社会と連携・協働しながら、未来の創り手となるために必要な資質・能力を育む「社会に開かれた教育課程」の実現、「カリキュラム・マネジメント」の確立が求められている。子供が抱える多様化、複雑化した困難に対応し、子供たちの命や安全を守るためにも、教職員の力だけでなく、家庭や地域の教育力を生かしたり、関係機関との連携を図ったりしていくことが必要である。中央教育審議会の「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して ~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」では、社会の変化が加速度を増し、複雑で予測困難となってきている中、子供たちの資質・能力を確実に育成するためには、学習指導要領を着実に実施していくことが重要であるとしている。また、第4期教育振興基本計画では、「持続可能な社会の創り手の育成」及び「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」の2つが大きなコンセプトとして掲げられている。
全九州中学校長協議会は、「魅力ある学校づくり」の構築に向けた学校における働き方改革を含めた新たな教育課題に対しても果敢に挑戦し、校長相互の資質向上と目的を明確にした研究を推進することにより、学校経営の更なる充実が図られ、学校からの教育改革が進むことを期待するものである。そこで、令和7年度第76回全九州中学校長研究大会熊本大会においては、「豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手を育てる中学校教育」を研究大会主題として、これまでの研究成果を十分に踏まえて研究協議を深め、主題に迫る具体的な方策を究明し、九州地区中学校の一層の発展と充実に期するものとする。